2009年1月23日

【経済・企業経営】 vol.295 企業法務? 製造物責任法(PL法)

企業法務? PL法

PL(Product Liability)法とは
  製造物責任法
  製品の欠陥によって
  購買側の生命・身体・財産に損害が生じたことを証明した場合、
  メーカー側の過失の有無にかかわらず
  その購買者はメーカーなどに
  損害賠償を求めることができる、とする法律。

  またメーカー側の免責事由や期間の制限
  についても定められている。




PL法の対象
  PL法における製造物は
  「製造又は加工された動産」と定義されている。

  一般的には、大量生産・大量消費される工業製品を中心とした
  人為的な操作や処理がなされ、引き渡された動産を対象とする。

  従って、サービス・ソフトウエア・電気等の無体物、
  不動産、未加工農林蓄水産物、鉱物は含まれない。


欠陥とは何か
  欠陥とは、当該製造物に関するいろいろな事情(判断要素)を
  総合的に考慮して、製造物が通常有すべき安全性を欠いていること。

  共通性・重要性・両当事者に中立的な表現ということを念頭に
  「製造物の特性」「通常予見される使用形態」
  「製造業者等が当該製造物を引き渡した時期」の
  3つを判断基準としている。


それぞれの役割
 【企業側】
  安全性の確保と向上に一層努力することが重要。
  安全な製品を製造するための技術開発や
  工程管理、出荷前の検査、
  また表示や取扱説明書の適正化やアフターケアの充実により
  製品販売後の被害の発生・拡大の防止に努めること。

 【購買側】
  製品の適正な選択、使用および保守が重要。
  製品の仕様・機能・内容の確認に努め、
  使用する際には表示・取扱説明書をよく読み
  事故につながるような使い方をしないようにする。
  製品の保守・点検をこまめに行うことも大切。


PL事故予防対策
 ◆欠陥の種類を理解する 
  1.設計上の欠陥:設計段階で安全性を欠いていた
  2.製造上の欠陥:製造工程で安全基準を下回ることとなった
  3.指示・警告上の欠陥:
          製品使用上の注意や警告をユーザーに与えなかった

 ◆設計上の欠陥事故予防対策
  1.製品安全設計の実施手順
  2.安全性レベルの設定
  3.使用の予見
  4.危険の予見
  5.危険の排除
  6.安全性の確認
  7.安全性検討内容の記録、保管

 ◆製造上の欠陥事故予防対策
  1.安全性を損なう原因の洗い出し
  2.外注先企業への指導、納入時の検査強化
  3.品質管理部門の体制強化
  4.技術水準に関する最新情報の収集
  5.検査基準の適正化・検査技術の向上・検査作業の自動化

 ◆指示・警告上の欠陥事故予防対策
  1.ユーザーの立場に立って、積極的にデメリット表示を行う
  2.警告ラベルの作成
  3.取扱説明書の作成

広告・販売用文書について
  製品パンフレットや広告の表示、営業社員の口頭説明においても
  製品事故予防の観点からの配慮が必要。

  安全に関し誇大と受け止められる広告は行わない。
  写真・イラストなどに法律違反・規則違反がないか
  細かくチェックが必要。


PL法防止対策の全社的推進
 1.社内組織の見直し
 2.作業の進め方の見直し
 3.過去のクレーム事例を集める
 4.経営トップの号令の下に作業を進める
 5.全社員のPL意識を高める


適切なクレーム対応の重要性(PL事故防御対策)
  PL事故防御対策とは、
  製品事故が発生した場合を想定して
  円滑なクレーム対応体制を整え、
  PL事故によって企業が被る損失を最小のものとすること。

 ◆この対策により見込めるメリット
  ・消費者苦情が設計・製造部門にフィードバックされ、
   PL事故予防対策面が強化される

  ・消費者苦情が新商品開発の情報となる
 
  ・一度失われた信頼の回復

  ・顧客との関係を、従来以上に強固かつ良好なものへ展開させる


事故発生前にやっておくこと
 ◆社内体制の整備
  1.クレーム対応部門の権限と責任の明確化
  2.技術部門の参加
  3.全社的体制の構築
  4.経営トップへの報告体制
  5.社外専門家の支援

 ◆文書管理体制の整備(保管期間:製造物の引渡し後10年間)
  【保管すべき文書】
   ・設計関連文書
   ・外注・納品に関する文書
   ・製造工程・品質管理方法・品質管理結果・検査結果等の記録
   ・試験の方法と成績書
   ・取扱説明書
   ・販売用文書・CMビデオの保管
   ・アフターサービス・修理の記録
   ・リコール等についての記録

 ◆関連会社との責任関係の明確化
   取引開始時に、損害賠償義務・求償権・PL保険手配義務
   に関して書面を交わす。

 ◆PL保険(生産物損害賠償責任保険)の手配
   PL保険とは、
   製造責任を負う場合に企業がそのことによって
   被る損害をカバーするための保険。


事故発生後に何をやるべきか
 ◆適切な初期対応
  1.基本スタンス
   ・自社の製品により被害が生じたことが事実ならば、
    十分に調査した上で対応する
   ・先方と対等なスタンス
   ・必要に応じてお見舞いに行く
   ・冷静にできるだけ多くの情報を聴取する

  2.調査項目
   ・被害者の住所・氏名・職業等
   ・事故発生日時・場所
   ・事故現場の状況
   ・第一発見者の住所・氏名
   ・目撃者の有無
   ・製品名・型式・製造番号・出荷日
   ・負傷有無・負傷内容・入通院の有無・入院先病院名
   ・大まかな財産的損害規模

  3.保険会社への通知

 ◆示談のポイント
  1.製品に欠陥があったか
  2.欠陥と損害との間に因果関係があったか

 ◆訴状対応のポイント 
  1.責任の有無
  2.賠償要求額が適正か過大か

 ◆弁護士の選任

 ◆製品に欠陥がなかったことの証明

 ◆免責抗弁の適用が可能か否か

 ◆特殊な状況への対応の検討
  1.悪質クレームへの対応
  2.第三者を代理人として立ててきた場合の対応
  3.民事介入暴力への対応



伝創社マーケティングチーム

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