2009年1月22日

【経済・企業経営】 vol.294 企業法務? 不正競争防止法

企業法務? 不正競争防止法

公正な競争を阻害する行為を禁止
  事業者間の正当な営業活動を遵守させることで
  適正な競争を確保するための法律。






本法で禁止される主な行為
◇周知表示に対する混同惹起行為(2条1項1号)
  広く知られた商品表示によく似ている表示。
  類似表示を使用した商品を作り、売るなどして、
  購買側に混同を生じさせる行為。

 ・商品等表示として保護されるための要件
  1.商品表示性
   表示が「ある商品を示す印」として機能していること

  2.周知性
   商品等表示が、購買側で広く認識されていること

  3.類似性
   商品等表示が,同一又は類似している必要がある。

  4.混同のおそれ
   購買側が、両者の商品間で混同を起こすおそれがないことが必要。

   ここでいう「混同」は、
   その者自体が主体となっていると誤認される場合(狭義の混同)
   だけでなく
   関係者が行っていると考えさせる(広義の混同)ことで
   足りるとする裁判例もある。


◇著名表示冒用行為(2号)
 他社の著名な商品表示を
 自社の商品表示として使用する行為。
 この場合、1号と異なり、混同が生じなくとも違法となる。

 ※「著名」とは何か 
   先の「周知」(購買側に広く認識されていること)よりも
   一段と広く知られているもので、
   全国的に誰でも知っているようなもの。


◇商品形態模倣行為(3号)
 他社の商品形態を模倣した商品を作ったり売ったりする行為。

 ・意匠権の取得が望ましい。 
  不正競争防止法に基づく形態模倣禁止の規定で
  デッドコピーであれば、規制は可能。
  しかし期間が3年と短いことと、
  類似形態の使用には規制が及ばないことから
  重要なデザインについては
  意匠権を取得しておくことが望ましい。


◇営業秘密不正取得・利用行為等(4ないし9号)
 営業秘密を盗んだり、悪用したり、盗ませたりする行為。
 なお「秘密」といえるためには、一定の要件がある。

 ・営業秘密とは
  1.秘密情報として管理されていること(秘密管理性)
  2.事業活動に有用な情報であること(有用性)
  3.公然と知られていないこと(非公知性)

 ・秘密管理性が認められるためには
  単に第三者に知られていない秘密情報であるというだけでは
  「営業秘密」には当たらない。
  秘密情報として“管理されている”という要件が必要。

  1.当該情報にアクセスした者が
   その情報が営業秘密であることを認識できるように
   していること(客観的認識可能性)
   その情報に対して、秘密であることを表示する必要がある
   (「部外秘」「極秘」等の表示)。

  2.事業活動に有用な情報であること(有用性)

  3.当該情報にアクセスできる者が
   限定されていること(アクセス制限)

   例えばサーバー上のデータであれば、
   パスワード・認証機能等により
   特定の人だけがアクセスできるようにしている必要がある。

   紙媒体などの物理的媒体であれば
   “保管場所に施錠する”“非秘密情報と区別して保管する”
   などの措置が必要。


◇技術的制限手段に対する不正競争行為(10号,11号)
 デジタルコンテンツのコピー管理技術、
 アクセス管理技術を無効にすることを目的とする機器や
 プログラムを提供する行為
 (技術的制限手段の試験、または研究で用いられる場合を除く)。


◇不正にドメインを使用する行為(12号)
 不正に利益を得る目的、または他人に損害を加える目的で
 他人の特定商品等表示と同一・類似ドメイン名を
 使用する権利を取得・保有する行為。
 およびそのドメイン名を使用する行為。


◇品質内容等 誤認惹起行為(13号)
 商品の原産地・品質・製造方法等について
 誤認させる表示をする行為。


◇信用毀損行為(14号)
 競争関係に他社の信用を害する虚偽情報を告知する行為。
 または、流布する行為。


◇代理表示等冒用行為(15号)
 代理権や販売権が消滅したにもかかわらず、
 総代理店、特約店等と言った表示を
 承諾なく使用し続ける行為。
 

 
不正競争行為に対する是正方法について 
 1.差止請求権(3条1項)
  不正競争行為によって
  営業上の利益を侵害される(おそれのある)者が、
  侵害の停止または予防を請求することができる。

 2.廃棄除去請求権(3条2項)
  侵害行為を構成した物、侵害行為によって生じた物の廃棄、
  侵害行為に供した設備の除却を請求することができる。

 3.信用回復措置(7条)
  営業上の信用を害された者は
  侵害した者に対して、信用回復に必要な措置を取らせる
  ことができる。
  ex) 謝罪広告、取引先に対して謝罪文を発送させるなど

 4.損害賠償請求(4条)
  特に法5条は、損害額の推定の規定を定め
  損害額の立証の困難性を緩和している。
  
  例えば、その侵害者が侵害行為により
  利益を受けた額や損害額を推定するなどの規定を置いている。


不正競争行為の適用除外
 1.普通名称・慣用表示の使用
  商品(あるいは営業)について
  その商品(営業)の普通名称や
  同一・類似の商品(営業)に使われている商品等表示を
  通常の方法で使用することや
  そのような表示を使用した商品を譲渡する場合には、
  1号・2号・13号・15号の不正競争行為にはあたらない。

 2.自己氏名の使用
  自分の氏名を不正目的でなく使用するような場合も
  1号・2号・15号の不正競争行為にはあたらない。

 3.先使用
  他社の商品等表示が、購買側に広く認識される前から
  その商品等表示と同一・類似の商品等表示を使用する行為は
  1号の不正競争行為とはならない。

  なお、このようなケースでの主張に対しては、
  権利侵害を受けたと主張する者は
  先使用者に対し、混同防止表示を付加するように請求できる。
  また他社の商品等表示が著名になる前から
  その商品等表示と同一・類似の商品等表示を使用する行為は
  2号の不正競争行為とはならない。

 4.形態模倣商品の善意取得者
  他社の商品形態を模倣した商品を譲り受けた者
  (その譲り受けた時に、その商品が他社の商品形態を
   模倣した商品であることを知らないケースに限る。)が
  その商品の譲渡等を行う行為は、3号の不正競争行為とはならない。

 5.営業秘密に関する例外
  取引によって営業秘密を取得した者
 (その取得した時に、その営業秘密について不正開示行為であること
  またはその営業秘密について不正取得行為もしくは不正開示行為が
  介在したことを知らず、かつ知らないことについて重大な過失が
  ない者に限る。)が
  その取引で取得した権限範囲内でその営業秘密を使用、
  または開示する行為は、4号縲怩X号の営業秘密に関する
  不正競争行為とはならない。


伝創社マーケティングチーム

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