2008年1月11日

【経済・企業経営】vol.156 内部統制-1

内部統制-1

法律や企業ルールに基づき不正やミスのない効率的・効果的な間違った財務会計が企業で行われないようにするために必要とされる基準と手続きであり、その手続きが正しく運用されていることを監査し証明する仕組みのこと

統制環境リスクの評価と対応統制活動情報と伝達モニタリング(監視活動)およびITへの対応の6つの基本要素から構成される。


<導入の背景>
2001年12月に破綻したエンロンの会計不祥事、同じく米ワールドコムの会計不祥事・・・これらによる米国経済へ打撃(ワールドコムの負債金額は米国史上最大といわれる約4兆7000億円)により注目を浴びた概念で、第2のエンロンやワールドコムを出さないために企業の財務情報の透明性と正確性を求め、確実にそれを実現できるようにするための仕組みが必要とされてきた。

<概要>
そこで、米国でも日本でも内部統制を実施することを法律で定め、違反した経営者には罰則が課せられることとした。日本におけるそれは06年5月施行の会社法と、06年6月に成立(08年度縲恷{行)の金融商品取引法(通称日本版SOX法)である。

監査法人による監査実施や、監査結果をまとめた「内部統制監査報告書」を決算時に公表することなど、新たな報告義務が2008年4月以降、約3,800社の上場企業に対して課されることが決められている。

  vol.160 内部統制-2につづく





補足

2006年6月に成立した金融商品取引法では、

1.不正を防ぐ社内管理体制を整備すること
2.管理体制を評価(点検)すること
3.評価結果を「内部統制報告書」にまとめて公表すること
4.報告書を監査法人に提出し、監査をうけること
5.監査結果をまとめた「内部統制監査報告書」を決算時に公表すること

という新たな報告義務が2008年4月以降、約3,800社の上場企業に対して課されることが決められている。

金融庁・企業会計審議会 内部統制部会による定義より

●4つの目的

1.業務の効率性・効率性
事業内容・活動の目標の達成のため、業務の有効性と効率性を高めること

2.財務報告の信頼性
開示する財務諸表と財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性がある情報についてその信頼性を確保すること

3.法令順守
事業活動に関わる法令や会計基準もしくは規範、各社の倫理綱領やガイドラインを遵守させること

4.資産の保全
会社の資産(有・無形、人的資源も含む)の取得やその使用、処分が正当な手続きや承認のもとで適切に行われるように資産の保全を図ること

●6つの基本要素
・統制環境
誠実性・倫理観/経営者の意向・姿勢/経営方針・経営戦略/取締役会・監査委員会の有する機能/組織構造と慣行/権限と職責/人的資源に関する方針と管理

・リスクの評価と対応
組織目標の達成を阻害する要因(=リスク)を識別し、分析・評価、リスクへの対応を行うこと。

・統制活動
経営者や部門リーダーの指示が適切に実行されるための方針・手続きのこと。
権限や職責の付与、業績評価や職務の分掌などの広範な方針・手続きが含まれる。

・情報と伝達
必要な情報が識別・把握・処理され、組織内外や関係者に適宜正しく伝えられる機能を確保すること。

・モニタリング(監視活動)
内部統制の有効性・効率性を継続的に評価・改善していくプロセスを運用すること。

・ITへの対応



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